1月30日、AnthropicがClaude Coworkにプラグイン機能を追加した。Coworkは1月上旬にローンチされたAIタスク自動化ツールで、PCのフォルダやブラウザ上で複数ステップの作業を自動実行できる。今回のプラグイン対応で、外部ツール連携・サブエージェント・スラッシュコマンドなど、カスタマイズの幅が大きく広がった。
AIソロビルダーにとって、これは「自分専用の業務チーム」をAIで構築できることを意味する。本記事では、Cowork Pluginsの全体像と、一人開発での具体的な活用法を解説する。
Claude Coworkとは何か
Claude Coworkは、Anthropicが提供するAIエージェント型タスクツールだ。チャットで指示を出すと、Claudeがローカルのファイル操作やブラウザ操作を自律的に実行する。たとえば「ダウンロードフォルダの請求書PDFをすべて読み取り、Excelにまとめて」といった指示を自動処理できる。
隔離されたVM環境で動作し、ファイルの永続削除には明示的な許可が必要など、セキュリティにも配慮されている。
プラグインで何ができるようになったか
今回追加されたプラグイン機能は、大きく4つの要素で構成される。
1. MCPコネクタ — 外部ツールとの接続
Model Context Protocol(MCP)を通じて、CRMやプロジェクト管理ツール、データベースなどの外部サービスにClaudeがアクセスできる。営業担当がCRMからリードデータを自動取得するようなユースケースが想定されている。
2. サブエージェント — 専門特化したAI
特定タスクに最適化されたClaudeのバリエーションを定義できる。データアクセス権限やシステムプロンプトを個別に設定し、「データ可視化専門」「コードレビュー専門」といった役割分担が可能になる。
3. スラッシュコマンド — ワークフローの即時起動
テキストベースのショートカットで、自作の自動化ワークフローを一発起動できる。/deployで本番デプロイ、/reviewでコードレビュー、といった使い方ができる。
4. スキルファイル — 状況に応じた知識の自動読み込み
Markdown形式のスキルファイルが、必要なタイミングで自動的にClaudeに読み込まれる。「このプロジェクトではTypeScriptを使う」「テストはVitest」といったコンテキストを事前定義しておける。
プラグインの構造
プラグインはファイルベースのシンプルな構成で、以下の要素から成る:
- plugin.json — プラグインのマニフェスト(名前、説明、バージョン)
- .mcp.json — MCPサーバーへの接続設定
- commands/ — スラッシュコマンドの定義
- skills/ — 条件付きで読み込まれるMarkdownスキル
Anthropicは11個のスタータープラグインをGitHubでオープンソース公開しており、これをベースにカスタマイズできる。営業・マーケティング・経理など部門別のプリセットに加え、ToDoリスト管理やリサーチ用の汎用プラグインも含まれる。
AIソロビルダーの活用シナリオ
プラグインの真価は、一人で複数の役割をこなす必要があるソロビルダーにこそ発揮される。具体的なシナリオを3つ紹介する。
シナリオ1:開発→テスト→デプロイの一気通貫
サブエージェントとして「コーディング担当」「テスト担当」「デプロイ担当」を定義。スラッシュコマンド/ship一つで、コード変更→テスト実行→ステージング確認→本番デプロイまでをClaudeが順番に実行する。手動で行えば30分かかるリリース作業が、コマンド一つで完結する。
シナリオ2:顧客対応の半自動化
MCPコネクタでメールやSlackと接続し、「問い合わせ対応」プラグインを構築。Claudeが問い合わせ内容を分類し、定型回答のドラフトを作成、送信前に確認を求める。一人でプロダクトを運営しているとき、サポート対応の負荷を大幅に軽減できる。
シナリオ3:データ分析→レポート→施策立案
アクセスログやセールスデータをMCPで取得し、分析スキルを持つサブエージェントが処理。/weekly-reportでKPIサマリーをMarkdownレポートとして自動生成。意思決定に必要な情報が、コマンド一つで手元に届く。
料金プラン
Coworkの利用にはClaude有料プランが必要だ。
| プラン | 月額 | Cowork | プラグイン |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | × | × |
| Pro | $20 | ○(制限あり) | ○(リサーチプレビュー) |
| Max 5x | $100 | ○ | ○ |
| Max 20x | $200 | ○ | ○ |
Proプラン(月$20)でもプラグイン機能は使えるが、5時間あたりのメッセージ上限がある。ヘビーに使うならMax 5x(月$100)が現実的だろう。現時点ではリサーチプレビュー段階で、プラグインはローカル保存のみ。今後、組織内での共有やプライベートマーケットプレイスが追加される予定だ。
類似ツールとの比較
| ツール | 特徴 | 料金 | ソロビルダー向け度 |
|---|---|---|---|
| Claude Cowork + Plugins | 汎用タスク自動化、プラグインで無限拡張 | $20〜$200/月 | ★★★★★ |
| Google Antigravity | エージェント型IDE、複数エージェント並列実行 | プレビュー中無料 | ★★★★☆ |
| Cursor | コーディング特化のAI IDE | $20/月〜 | ★★★★☆ |
| Claude Code | ターミナルベースのコーディングエージェント | API従量課金 | ★★★★☆ |
Cowork Pluginsの強みは、コーディング以外のタスクにもAIエージェントを展開できる点だ。CursorやAntigravityがコード中心なのに対し、Coworkはファイル管理・リサーチ・データ分析・文書作成など業務全般をカバーする。ソロビルダーは「コードを書く」だけでなく、マーケティング・カスタマーサポート・経理も一人でやる。その全領域にAIエージェントを配置できるのがCoworkの本質的な価値だ。
まとめ — 一人チームを一人で作る時代
このツールが向いている人:
- 一人で開発・運営・マーケティング・サポートを回しているソロビルダー
- 定型作業の自動化で、プロダクト開発に集中する時間を作りたい人
- すでにClaude ProやMaxを契約していて、活用範囲を広げたい人
向いていない人:
- 無料で完結させたい人(Coworkは有料プラン限定)
- コーディングだけに特化したツールを探している人(CursorやClaude Codeのほうが適切)
- プラグインのカスタマイズに時間を割きたくない人
Claude Cowork Pluginsは、AIソロビルダーに「一人で回せるチーム」を提供する。プラグインを自分のワークフローに合わせて構築すれば、開発・運用・ビジネスのすべてにAIエージェントが並走する。まだリサーチプレビュー段階だが、ソロビルダーにとっては今から触っておく価値のあるツールだ。